=================================================================== RCS file: /home/cvs/OpenXM/doc/Attic/genkou19991125.tex,v retrieving revision 1.16 retrieving revision 1.74 diff -u -p -r1.16 -r1.74 --- OpenXM/doc/Attic/genkou19991125.tex 1999/12/19 18:05:34 1.16 +++ OpenXM/doc/Attic/genkou19991125.tex 1999/12/24 16:59:48 1.74 @@ -1,283 +1,581 @@ \documentclass{jarticle} -\title{\bf Open XM($B%?%$%H%kL$Dj(B)} -\author{ -Maekawa, Masahide (Oct., 1999 -- : CVS server) \\ -Noro, Masayuki (Jan., 1996 -- : OpenXM Protocol, asir99) \\ -Ohara, Katsuyoshi (Jan., 1998 -- : ox\_math) \\ -Okutani, Yukio (Oct., 1999 -- : asir contrib) \\ -Takayama, Nobuki (Jan., 1996 -- : OpenXM Protocol, kan) \\ -Tamura, Yasushi (Nov., 1998 -- : OpenMath proxy) \\ +%% $OpenXM: OpenXM/doc/genkou19991125.tex,v 1.73 1999/12/24 15:42:24 ohara Exp $ + +\usepackage{jssac} +\title{ +1. 意味もない修飾過剰な語句は排除しましょう。\\ +3. せっかく fill しているのをいじらないでくれ。\\ +4. 田村が遊んでばかりでおればかり仕事をしているのはどう考えても不公平だ。 +なんで仕事をしないのか、いい加減仕事をしろ、田村。 +%↑すみません、家で御飯食べてました。 } -\date{ 1999$BG/(B, 11$B7n(B25$BF|(B} -%\pagestyle{empty} +\author{奥 谷   行 央\affil{神戸大学大学院自然科学研究科} + \mail{okutani@math.sci.kobe-u.ac.jp} + \and 小 原   功 任\affil{金沢大学理学部} + \mail{ohara@kappa.s.kanazawa-u.ac.jp} + \and 高 山   信 毅\affil{神戸大学理学部} + \mail{takayama@math.sci.kobe-u.ac.jp} + \and 田 村   恭 士\affil{神戸大学大学院自然科学研究科} + \mail{tamura@math.sci.kobe-u.ac.jp} + \and 野 呂   正 行\affil{富士通研究所} + \mail{noro@para.flab.fujitsu.co.jp} + \and 前 川   将 秀\affil{神戸大学理学部} + \mail{maekawa@math.sci.kobe-u.ac.jp} +} +\art{} \begin{document} \maketitle -\section{OpenXM $B$N7W;;%b%G%k(B} +\section{OpenXMとは} -OpenXM $B$O?t3X%=%U%H4V$G%a%C%;!<%8$r8r49$9$k$?$a$N5,Ls$G$"$k!#(B -OpenXM $B$H$O(B Open message eXchange protocol for Mathematics $B$NN,$G$"$k!#(B -$B?t3X%=%U%H4V$G%a%C%;!<%8$r$d$j$H$j$5$;$k$3$H$K$h$j!"(B -$B$"$k?t3X%=%U%H$+$iB>$N?t3X%=%U%H$r8F$S=P$7$F7W;;$r9T$J$C$?$j!"(B -$BB>$N%^%7%s$G7W;;$r9T$J$o$;$?$j$G$-$k$h$&$K$9$k!#(B -$BH/C<$OLnO$@59T$H9b;3?.5#$K$h$j!"(B asir $B$H(B kan/sm1 $B$r(B -$BAj8_$K8F$S=P$95!G=$r$N?t3X%=%U%H$r;H$($k$h$&$K$9$k$3$H$G$"$k!#(B +OpenXM は数学プロセス間でメッセージを交換するための規約である。 +数学プロセス間でメッセージをやりとりすることにより、 +ある数学プロセスから他の数学プロセスを呼び出して計算を行なったり、 +他のマシンで計算を行なわせたりすることが目的である。 +なお、 OpenXM とは Open message eXchange protocol for Mathematics の略である。 +OpenXM の開発の発端は野呂と高山により、 +asir と kan/sm1 を相互に呼び出す機能を実装したことである。 -$BH/C<$H$J$C$?(B asir $B$H(B kan/sm1 $B$G$N$N7A<0$r$b(B -$B07$($k$h$&$K$7$F$"$k!#(B +現在の OpenXM 規約では共通表現形式によるメッセージを用いている。 +上記の文字列を送る方法の利点を生かすため、 +OpenXM 規約では共通表現形式の中の文字列として、 +ローカル言語の文法に従った文字列を用いたメッセージの交換も可能となっている。 -OpenXM $B5,Ls$G$N%a%C%;!<%8$N8r49$O%5!<%P$H%/%i%$%"%s%H$N4V$G9T$J$o$l$k!#(B -$B%5!<%P$O%9%?%C%/$r;}$C$F$$$k$H2>Dj$5$l$F$*$j!"(B -$B%5!<%P$,%/%i%$%"%s%H$+$il9g!"(B -$B%/%i%$%"%s%H$+$i%5!<%P$X7W;;$5$;$?$$%G!<%?$r%a%C%;!<%8$H$7$FAw$j!"(B -$B$=$7$F$=$N7k2L$r%5!<%P$+$i%a%C%;!<%8$Ge$2$F$$$/$@$1$G!"%5!<%P$O7W;;$r9T$J$*$&$H$O$7$J$$!#(B -$Bl9g!"(B -$B%5!<%P$OF0:n$N7k2L$r%9%?%C%/$K@Q$s$G$$$k!#(B -$B%5!<%P$K9T$J$o$;$?F0:n$N7k2L$r%/%i%$%"%s%H$,CN$j$?$$>l9g!"(B -$B%9%?%C%/$+$i%G!<%?$rl9g!"(B -CMO $B7A<0$GDj5A$5$l$F$$$kB?G\D9@0?t$rM}2r$7$F$*$/$H!"(B -CMO $B7A<0$NB>$N%G!<%?9=B$$@$1$G$J$/!"(B OX $B7A<0!"(B SM $B7A<0$N%G!<%?$r(B -$BM}2r$9$k=u$1$K$J$k$H;W$($k$N$G!"(B CMO $BAX$NB?G\D9@0?t$N(B -$B%G!<%?9=B$$K$D$$$F@bL@$9$k!#(B +まず、OpenXM 規約は通信時にやりとりされる共通のデータ形式については規定 +するが、OpenXM スタックマシンがスタックに積む、オブジェクトの構造までは +規定しない。つまり、オブジェクトの構造は各数学システムごとに異なっている +ということである。このことは通信路からデータを受け取った際に、各数学シス +テムが固有のデータ構造に変換してからスタックに積むことを意味する。この変 +換は1対1対応である必要はない。 -CMO $BAX$GDj5A$5$l$F$$$k%G!<%?$OB?G\D9@0?t0J30$K$b(B -$BJ8;zNs$d%j%9%H9=B$$J$I$,$"$k!#$I$N$h$&$J%G!<%?$G$"$k$+$O(B -$B%G!<%?$N@hF,$K$"$k(B tag $B$r8+$l$PH=JL$G$-$k$h$&$K$J$C$F$$$k!#(B -$B$3$l$O(B OX $BAX$G$N%G!<%?$NH=JL$N;EJ}$H$*$J$8$G$"$k!#(B -$B$J$*!"(B tag $B$O3F%G!<%?Kh$K(B 32 bit $B$N@0?t$GI=$5$l$F$*$j!"(B -$BB?G\D9@0?t$O(B 20 $B$H$J$C$F$$$k!#(B -$B$3$3$G(B 32 bit $B$N@0?t$NI=8=J}K!$K$D$$$F@bL@$9$kI,MW$,$"$k!#(B -%$B:r:#$N%3%s%T%e!<%?;v>p$+$i!"(B -%32 bit $B@0?t$b(B 8 bit $BC10L$G07$&$[$&$,ET9g$,$h$$!#(B -OpenXM $B$G$O(B 8 bit $BC10L$G(B $( \mbox{\tt 00 00 00 14})_{2^8}$ $B$HI=$9J}K!$H(B -$( \mbox{\tt 14 00 00 00})_{2^8}$ $B$HI=$9J}K!$,$"$k!#(B -$B$3$NI=8=J}K!$N0c$$$O%/%i%$%"%s%H$H%5!<%P$N:G=i$N@\B3;~$K(B -$BAPJ}$N9g0U$G7hDj$9$k$3$H$K$J$C$F$$$k!#(B -$B$J$*!"9g0U$,$J$$>l9g$K$O(B -$BA0l9g$N7e?t$r(B $n$ $B$H(B -$B$7$?$H$-!"l9g$N7e?t$H$H$C$F$b$h$$!#(B -$B$?$@$7!"I=8=$7$?$$?t$,Ii$N>l9g$O$3$N(B 32 bit $B$N@0?tCM$O(B 2 $B$NJd?tI=8=$GIi$K$J$k!#(B +\begin{verbatim} +#define SM_popSerializedLocalObject 258 +#define SM_popCMO 262 +#define SM_popString 263 -%$BI=8=$7$?$$B?G\D9@0?t$,Ii$G$"$C$F$b$3$l0J9_$N@bL@$O@5$N>l9g$H(B -%$BJQ$o$i$J$$$N$G!"0J8eB?G\D9@0?t$O@5$H$_$J$9!#(B +#define SM_mathcap 264 +#define SM_pops 265 +#define SM_setName 266 +#define SM_evalName 267 +#define SM_executeStringByLocalParser 268 +#define SM_executeFunction 269 +#define SM_beginBlock 270 +#define SM_endBlock 271 +#define SM_shutdown 272 +#define SM_setMathCap 273 +#define SM_executeStringByLocalParserInBatchMode 274 +#define SM_getsp 275 +#define SM_dupErrors 276 -$BI=8=$7$?$$B?G\D9@0?t$N@dBPCM$,(B $2^{32}$ $B?J?t$G(B $(b_0 b_1 ... b_k)_{2^{32}}$ -$B$HI=$;$k$H$-!"$l(B 32 bit $B$N@0?t$GI=8=$7$?CM$H$J$k!#(B +#define SM_DUMMY_sendcmo 280 +#define SM_sync_ball 281 -$B$3$3$G6qBNNc$r$@$=$&!#(B -$4294967298 = 1 \times 2^{32} + 2$ $B$r(B network byte order $B$NB?G\D9@0?t$G(B -$BI=8=$9$k$H!"(B -\begin{center} - {\tt 00 00 00 14 00 00 00 02 00 00 00 02 00 00 00 01} -\end{center} -$B$H$J$k!#$^$?!"F1$8I=8=J}K!$G(B $-1$ $B$rI=8=$9$k$H!"(B -\begin{center} - {\tt 00 00 00 14 ff ff ff ff 00 00 00 01} -\end{center} -$B$H$J$k!#(B +#define SM_control_kill 1024 +#define SM_control_to_debug_mode 1025 +#define SM_control_exit_debug_mode 1026 +#define SM_control_ping 1027 +#define SM_control_start_watch_thread 1028 +#define SM_control_stop_watch_thread 1029 +#define SM_control_reset_connection 1030 +\end{verbatim} +スタックマシンは命令の実行の結果がある場合、 -\section{MathCap $B$K$D$$$F(B} +結果をスタックに積む。 +これは、たとえエラーが起こったとしても同じであり、 +この場合はエラーオブジェクトをスタックに積む。 -%$BA0@a$G8+$?$h$&$K!"(B 1 $B$D$N%a%C%;!<%8$ND9$5$O7h$^$C$F$$$J$$!#(B -$B%5!<%P$*$h$S%/%i%$%"%s%HAPJ}$H$b$K(B OpenXM $B$G5,Dj$5$l$F$$$k(B -$B$9$Y$F$N%a%C%;!<%8$rM}2r$G$-$k$o$1$G$O$J$$!#(B -$B$=$3$G!"(B OpenXM $B$G$OAjpJs$,F~$C$F$$$k!#(B -$B$3$N:G=i$NMWAG$,$^$?%j%9%H9=B$$H$J$C$F$*$j!"(B -$B:G=i$NMWAG$O%P!<%8%g%s%J%s%P!<$r!"A0$rI=$7$F$$$k!#(B +この中で CMO\_INT32, ... で識別されるオブジェクトは最も基本的なオブジェ +クトであって、すべての OpenXM 対応システムに実装されていなければならない。 -$BpJs$rI=$7$F$$$k$H$$$C$?$3$H$,M}2r$G$-$k$3$H$H!"(B -$B%G!<%?$,o$K@\B3$rBT$D$3$H$K$h$C$F!"(B -$B?/F~Z$r9T$J$&$h$&$K$J$C$F$$$k!#$3$N%Q%9%o!<%I$O0lC6;HMQ$5$l$k$H(B -$BL58z$K$J$k$N$G!"$b$72>$K$J$s$i$+$Ne$G$O$3$N%Q%9%o!<%I$,$o$+$C$F$7$^$&$?$a!"(B -$BF10l$N%3%s%T%e!<%?>e$K0-0U$N$"$k%f!<%6$O$$$J$$$H2>Dj$7$F$$$k(B -$B$3$H$KCm0U$7$J$1$l$P$J$i$J$$!#(B +% 先ほどの、 (CMO\_INT32, 123456789) をネットワークバイトオーダーで +% バイト列に直すと、 +% \begin{center} +% {\tt 00 00 00 02 07 5b cd 15} +% \end{center} +% となり、 +% (CMO\_STRING, 6, ``OpenXM'') は +% \begin{center} +% {\tt 00 00 00 04 00 00 00 06 4f 70 65 6e 58 4d} +% \end{center} +% となる。 -$B$J$*!"@\B3$,3NN)$7$?8e$N%a%C%;!<%8$NAw$N%W%m%8%'%/%H(B} +% ここで、 1 つの枠は 4 バイトを表し、 +% $f$ は符号付き 32 ビット整数を、 +% $b_0$, $b_1$, $\cdots$, $b_{n-1}$ は符号なし 32 ビット整数を表している。 +% さらに、 $|f| = n$ が成り立たなければならない。 +% このオブジェクトは +% \[ \mbox{sgn}(f) \times \{ b_0 (2^{32})^0 + b_1 (2^{32})^1 + \cdots +% + b_{n-1} (2^{32})^{n-1} \} \] +% という整数であると定義されている。 +% ただし、 +% \[ \mbox{sgn}(f) = \left\{ \begin{array}{ll} +% 1 & f>0 \\ +% 0 & f=0 \\ +% -1 & f<0 \\ \end{array} \right. \] +% である。 -$BB>$N%W%m%8%'%/%H$K$D$$$F4v$D$+>R2p$9$k!#(B +% ここで具体例をだそう。 +% $4294967298 = 1 \times 2^{32} + 2$ を CMO 形式の +% ネットワークバイトオーダー、多倍長整数で表現すると、 +% \begin{center} +% {\tt 00 00 00 14 00 00 00 02 00 00 00 02 00 00 00 01} +% \end{center} +% となる。また、同じ表現方法で $-1$ を表現すると、 +% \begin{center} +% {\tt 00 00 00 14 ff ff ff ff 00 00 00 01} +% \end{center} +% となる。 -OpenMath $B%W%m%8%'%/%H$O?t3XE*$J%*%V%8%'%/%H$r(B -$B%3%s%T%e!<%?>e$GI=8=$9$kJ}K!$r7hDj$7$F$$$k!#(B -$B3F%=%U%H%&%'%"4V$G%*%V%8%'%/%H$r8r49$9$k:]$N(B -$B%*%V%8%'%/%H$NJQ49$l(B ox\_asir, ox\_sm1, ox\_math $B$H$$$&L>A0$GDs6!$5$l$F$$$k!#(B -$B$^$?!"(B OpenMath $B5,3J$N(B XML $BI=8=$GI=8=$5$l$?%G!<%?$H(B CMO $B7A<0$N(B -$B%G!<%?$rJQ49$9$k%=%U%H%&%'%"$,(B JAVA $B$K$h$C$FA0$GDs6!$5$l$F$$$k!#(B +第二にクライアントを制限するには次のようにする。クライアントがサーバに命 +令 SM\_mathcap を送ると、サーバは mathcap オブジェクトをスタックに積む。 +さらに命令 SM\_popCMO を送ると、サーバはスタックの最上位のオブジェクト +(すなわち mathcap オブジェクト)をボディとするメッセージをクライアントに +送付する。クライアントはそのオブジェクトを解析して、制限をかける。 + +次に mathcap のデータ構造について説明する。 +mathcap は CMO の一種であるので、すでに説明したように +\begin{verbatim} +ヘッダ ボディ +\end{verbatim} +の構造を持ちヘッダの値は 5 である(\ref{sec:cmo} 節を参照のこと)。 +ボディは cmo\_list オブジェクトでなければならない。 + +さて、mathcap オブジェクトのボディの cmo\_list オブジェクトは以下の条件を +満たすことを要求される。 + +まず、その cmo\_list オブジェクトは少なくともリスト長が 3 以上でなければ +ならない。 + +\[ \begin{tabular}{|c|c|c|} \hline + $A$ & $B$ & $C$ \\ \hline + \end{tabular} \] + +第一要素 $A$ はまた cmo\_list であり、リスト長は 4 以上、 +$a_1$ は 32 ビット整数でバージョンナンバーを、 +$a_2$ は文字列でシステムの名前を表すことになっている。 + +\[ \begin{tabular}{|c|c|} \hline + $a_1$ & $a_2$ \\ \hline + \end{tabular} \] + +2 番目の要素 $B$ の部分は次のようなリスト構造をしている。 +この $b_1$, $b_2$, $\cdots$, $b_n$ はすべて 32 ビットの整数である。 +スタックマシンへの命令はすべて 32 ビットの整数で表しており、 +各 $b_i$ は利用可能な命令に対応する 32 ビットの整数となっている。 + +\[ \begin{tabular}{|c|c|c|c|} \hline + $b_1$ & $b_2$ & $\cdots$ & $b_n$ \\ \hline + \end{tabular} \] + +3 番目の要素 $C$ は以下のようなリスト構造をしている。 +\[ \overbrace{ + \begin{tabular}{|c|c|c|c|} \hline + $c_1$ & $c_2$ & $\cdots$ & $c_n$ \\ \hline + \end{tabular} + }^{C} \] +%$n$ は OX\_COMMAND 以外の受け取れるメッセージのタグの種類の数に等しい。 +%要素数は 1 でももちろん構わない。 +各 $c_i$ もまた以下のようなリスト構造となっており、 +どの $c_i$ も最初の要素が 32 ビットの整数となっている。 +\[ \overbrace{ + \begin{tabular}{|c|c|c|c|c|} \hline + $c_{i1}$ (32 ビットの整数) & $c_{i2}$ & $c_{i3}$ & + $\cdots$ & $c_{im}$ \\ \hline + \end{tabular} + }^{c_i} \] +このリストの最初の整数値は受け取れるメッセージのタグが入っている。 +$c_{i2}$ 以降については最初の $c_{i1}$ の値によってそれぞれ異なる。 +ここでは、最初の要素が OX\_DATA の場合についてのみ説明する。 +この $c_{i1}$ が OX\_DATA の場合、 +リスト $c_i$ は CMO 形式についての情報を表しており、 +$m=2$ と決められている。 +$c_{i1}$ にはもちろんのこと OX\_DATA が入っており、 +$c_{i2}$ は以下の図のようなリスト構造になっている。 +各要素は 32 ビットの整数であり、 +受け取ることが可能な CMO 形式のタグが入る。 +\[ \overbrace{ + \begin{tabular}{|c|c|c|c|c|} \hline + $c_{i21}$ & $c_{i22}$ & $\cdots$ & $c_{i2l}$ \\ \hline + \end{tabular} + }^{c_{i2}} \] + +%なお、 mathcap データの中では CMO 形式で定義されている +%32 bit 整数、文字列、リスト構造が使われており、 +%mathcap データに含まれている内容を理解できるためには +%必然的にこれらも理解できる必要がある +%(ってことは CMO 形式のところでこれらを +%説明しなければならないってことです)。 + +具体的な mathcap の例をあげよう。 +%なお、 $a_1$, $a_2$, $\cdots$, $a_n$ を要素に +%持つリスト構造を {\tt [$a_1$, $a_2$, $\cdots$, $a_n$]} 、 +%文字列 ``string'' を {\tt "string"} 、 32 bit 整数を +%それに対応する 10 進数の整数で示す。 +名前が ``ox\_test''、バージョンナンバーが 199911250 のサーバであれば、 +$A$ の部分は +\begin{tabular}{|c|c|} \hline +199911250 & "ox\_test" \\ \hline +\end{tabular} +となる。 +さらに、このサーバのスタックマシンが +命令コード 2, 3, 5, 7, 11 番を利用可能 +(実際にはこのような命令コードは存在しない)であれば、 $B$ の部分は +\begin{tabular}{|c|c|c|c|c|} \hline +2 & 3 & 5 & 7 & 11 \\ \hline +\end{tabular} +となり、 +CMO 形式の 32 ビット整数、文字列、 mathcap 、リスト構造のみが +受け取れるときには、 $C$ の部分は +\begin{tabular}{|c|} \hline + \\[-5mm] + \begin{tabular}{|c|c|} \hline + & \\[-5mm] + OX\_DATA & + \begin{tabular}{|c|c|c|c|} \hline + CMO\_INT32 & CMO\_STRING & CMO\_MATHCAP & CMO\_LIST \\ \hline + \end{tabular} \\[0.8mm] \hline + \end{tabular} \\[1.4mm] \hline +\end{tabular} \\ +となる。 +CMO\_ZZ がないので、このサーバは多倍長整数が送られてこないことを期待して +いる。 + +なお、データが受け取れることと、データの論理構造が理解できることとはまっ +たく別物であるので注意する必要がある。 + +{\Huge ってなんででしょうか? データの論理構造を知らないと受け取れないと +思うんですが$\ldots$} + + +\section{セキュリティ対策} + +OpenXM 規約は TCP/IP を用いて通信を行うことを考慮している。ネットワーク +によって接続される現代の多くのソフトウェアと同様、OpenXM 規約もまた通信 +時のセキュリティについて注意している。以下、このことについて説明しよう。 + +{\large\bf 意味不明なことを書いているが、} + +侵入者に攻撃の機会をできるだけ与えないようするた +めに、接続が必要になった時のみ接続を待つようにし、 +常に接続に関与するといったことは避けている(やっぱり意味不明である)。 + +また、侵入者が接続を行なう一瞬のすきを狙ってくる可能性もあるので、 +接続を行なう時に接続を待つポート番号をランダムに決めている(誰が決めてい +るのかはやっぱり不明であるが)。 +さらにもう一段安全性を高めるために、 +接続時に 1 回だけ使用可能なパスワードを作成し、 +そのパスワードを使って認証を行なう(誰がパスワードを決めて誰が認証を行っ +ているのかが不明だけど)。 +このパスワードは一旦使用されれば無効にするので、 +もし仮になんらかの手段でパスワードが洩れたとしても安全だと考えている。 + +なお、接続が確立した後のメッセージの送受信に関しては、 +特に暗号化などの処置を行っているわけではない。 +もし必要があれば、通信路の暗号化を行なう機能がある +ソフトウェア ssh を使うことを考えている。 + +\section{他のプロジェクト} + +他のプロジェクトについても触れておこう。 + +\begin{itemize} +\item OpenMath\\ +OpenMath プロジェクトは数学的なオブジェクトをコンピュータ上で表現する方 +法を規定している。各ソフトウェア間でオブジェクトを交換する際のオブジェク +トの変換手順につても定められている。表現方法は幾つかの段階で定められて +いて、XML 表現やバイナリ表現などが用意されている。詳細は + +http://www.openmath.org/omsoc/ A.M.Cohen + +\item NetSolve + +http://www.cs.utk.edu/netsolve/ + +\item MP + +http://symbolicNet.mcs.kent.edu/SN/areas/protocols/mp.html + +\item MCP + +http://horse.mcs.kent.edu/~pwang/ +\end{itemize} + + +\section{現在提供されているソフトウェア} + +現在 OpenXM 規約に対応しているクライアントにはasir, sm1, Mathematica が +ある。これらのクライアントから OpenXM 規約に対応したサーバを呼び出すこと +ができる。現在 OpenXM 規約に対応しているサーバソフトウェアには、asir, +sm1, gnuplot, Mathematica などがあり、それぞれ ox\_asir, ox\_sm1, +ox\_sm1\_gnuplot, ox\_math という名前で提供されている。また、 OpenMath +規約の XML 表現で表現されたオブジェクトと CMO 形式のオブジェクトを変換す +るソフトウェアが JAVA によって実装されており、OMproxy という名前で提供さ +れている。 + +\begin{thebibliography}{99} +\bibitem{Ohara-Takayama-Noro-1999} +小原功任, 高山信毅, 野呂正行: +{Open asir 入門}, 1999, 数式処理, Vol 7, No 2, 2--17. (ISBN4-87243-086-7, SEG 出版, Tokyo). +\bibitem{OpenXM-1999} +野呂正行, 高山信毅: +{Open XM の設計と実装 --- Open message eXchange protocol for Mathematics}, +1999/11/22 +\end{thebibliography} \end{document}